牛肉

アラキドン酸のおいしさの効果

油脂を添加したり油で炒めたり揚げたものは、炊いたり蒸したりするものと比べ、味わいが格段に異なります。
普段使われている油は、植物由来の大豆油やキャノーラ油それに綿実油、ナタネ油などが多いようです。
ゴマ油やオリーブオイルは、風味付けに使われることが多く、用途は限られています。
動物性由来の油としては、ラードやヘットが主なものです。

微生物発酵によるアラキドン酸を豊富に含んだ油脂の製造方法が確立された現在、乳児用粉ミルクへの配合を行うために利用されていたこの油脂を調理に使用することによって味がより美味しくなったことが確認され、以後様々な食品で確かめたようです。
アラキドン酸の含有量が1.0%にも満たないこの油脂で調理すると、香りについては影響はなく、従来の調理法より「味の濃厚さ」「うま味」「後味」が増したようです。
ちなみに他の植物油にアラキドン酸を少量添加して調理をしてもその味は期待通りのものとなり、細胞レベルでの実験で甘味、うま味、苦味といった基本味物質に対する味覚感知に関与していることがわかりました。

アラキドン酸エイコサノイドの一種であるアナンダミドは脳に多く存在し、快感などに関係する脳内麻薬物質とも考えられているもので、中枢神経系および末梢で多様な機能を持っています。
これは「至福物質」とも言われ、幸福感や高揚感をもたらす働きがあることから、調理との因果関係を含め、現在研究の道なかばです。
やがてこれらも解明されると思います。